「前にも説明したのに…」「なぜ言ってることが伝わらないんだ…」ということが、仕事をしているとたまーにある。
分かりやすいように伝えるために工夫しているので、「分かりやすい」と言われることが多い方ではある。それでも、全てのことを伝えたいまま100%伝えることは難しい。
「何言ってるか分からない」と思われることも、思うこともたまにある。
という話をしていたら、株主のtalikiのかいたさんから『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』という本をおすすめしてもらった。

特に「そもそも言葉自体が抽象化された記号であり、圧縮した情報を解凍するのは、それを受け取った相手の頭の中」という学びを得たことは大きかった。
備忘録ととしてブログにも残しておきたい。
Table of Contents
書籍の概要
最初に、簡単に『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』に書いていたことをまとめておく。
- 人間はそれぞれ「スキーマ(思考の枠組み)」を通して情報を理解している。
- 受け継いだDNA、生まれた場所、育った環境、関わってきた人、目にしてきた情報が違うのだから、そのスキーマが違うのは当然。
- そのため、「どう伝えるか」よりも、「相手がどう受け取るか」に着目することが重要。
- スキーマが違うことを前提に、「相手のスキーマを理解してコミュニケーションする」「同じスキーマを共有できるように説明する」に手間を惜しまずに時間をかけることが必要。
言葉を発している人と、受け取っている人とでは、「知識の枠組み」も違えば「思考の枠組み」も異なるため、仮にすべての情報を漏れなく伝えたとしても、頭の中を共有することはできない
相手が「わかった!」という態度を示していたとしても、それを鵜呑みにしてはいけません。
相手のスキーマに沿って解釈されている可能性が大いにあります。
必要なのは、新しい施策を、手を替え品を替え魅力的に、あるいは丁寧に説明することではなく、それぞれがどんな視点からその意見を言っているのかを考え、聞き取り、それぞれの懸念を払拭していくことです。
言葉とは情報を抽象化した記号
僕は、テキストでの情報収集・発信を得意だと思っていて、好んで使っている。
この本を読んで一番学びになったのは「言葉そのものが情報を抽象化した記号」であり、「その言葉が、相手の頭の中で具体的なイメージにつながることが重要」ということ。
言葉は、人間が簡単に処理できる容量に情報を圧縮する働きをする一方、言葉から、具体的なイメージを膨らませることができる。
言葉による説明は、それ自体がそもそも抽象的です。
言葉が、相手の頭の中でエラーなく具体的なイメージと結びつけることができるのか、正しくカテゴリーとして認識されているのかが、「説明のわかりやすさ」につながっているといえる。
つまり、言葉は情報を圧縮したファイルであり、それを解凍するのは受け取った相手の頭の中。重要なことは「相手の頭の中で、自分が伝えたいイメージとして解凍されるか?」だということ。
そのためには、具体的な情報とセットで伝えることが求められる。
例えば「言葉は情報を圧縮したファイルであり、それを解凍するのは受け取った相手の頭の中」という言葉(抽象)で伝えるよりも、以下のような図や具体例があった方が伝わりやすいはず。

伝わる説明をするための具体例の具体例
事業活動をする上で、多くの人と関わりコミュニケーションを取ることは避けては通れない。メンバー、お客様、取引先、株主など、様々な人と日々コミュニケーションをする。
そんな時に、伝わる説明をするために重要なことは「具体例をセットで伝えること」。もっと相手視点で言えば「具体的なイメージを湧く情報を提供すること」だ。
例えば以下のように。
- 具体例を言葉でいくつか挙げる
- 図解を使って説明する
- 画像/動画でイメージを共有する
- 一緒に仕事をする(OJT)
言葉を用いて具体を表現し、狙い通りのイメージを相手の頭の中に描かせるのが伝わる説明です。
「意図を読む」ということ
また、相手が言っていることを理解するために、また自分の伝えたいことを理解してもらうために「意図を読む」ということが重要になる。
僕は他者の「意図を読むこと」に苦手意識がある。高校時代の二度目の失恋の際に、好きだった人の言動の意図を読もうとしすぎて、ネガティブな想像にしんどくなってしまった。文字通り、お弁当が喉を通らなくなったことがあるからだ。
それから、「過剰に意図を読まない。直接聞く」ということを極端に実践してきてしまっている。
しかし、多くの人と関わる事業活動をしていく上で、「意図を読む技術」は必須能力だとも思っている。
鍛錬するしかない。
意図を読むためには、「相手がどういう視点で、どういうスキーマを持って状況を捉え、状況に対してどういう感情を持っているのかを推察すること」が求められ、それには相手の感情も大きく関わっている
書籍では、上記のように言語化してくれていた。ここまで言語化してくれていれば、あとは実践するだけだ。できそうだ、と希望が持てる。
相手とコミュニケーションの齟齬が生まれた時に、相互に以下の3点をチェックすればうまくいく。と思えた。
- 視点:どの立場で思考しているか
- スキーマ:どんな価値観/思考の枠組みを持っていて、どう状況を捉えているか
- 感情:その状況に対して、どんな感情を持っているか。
“わかろうとする努力は辞めたくないよ”
僕の好きな漫画『銀の匙』8巻で、御影がいった言葉が好きで、よく覚えている。
わかろうとする努力は辞めたくないよ
自分と違う人と関わることが増えると、当然ストレスも増える。だからと言って、「一人でやる」という楽な道に逃げたくはない。
ミッションを達成するために、一人ではできないことを為すために、多くの人と協力したくて起業した。そして必死に事業活動を行い続けている。
これからも、さらに多くの人と関わっていくことになる。そんな時、一時的な大変さで他者を理解することを諦めたくない。僕も御影のように、自分と違う人間をわかろうとする努力はやめたくない。