ご無沙汰しています。ブイクックの工藤です。
日々、「ヴィーガン業界をリードしていくぞ」という気持ちで、若輩者ながらブイクック社を経営させていただいています。
ブイクック社では、これまでにヴィーガンという軸はブラさずに、レシピ投稿サイト→レシピ本出版→冷凍惣菜サブスク→マーケットプレイスと、何度もピボットさせながら「真にヴィーガン生活を支えられるプロダクトとは何か?」という問いに向き合ってきました。
現在も、2021年10月にβ版リリースしたヴィーガン商品特化型マーケットプレイス「ブイクックモール」から、zoom in pivot(コアな価値の部分を切り出しての事業方針転換)して、ヴィーガン商品特化型ネットスーパー「ブイクックスーパー」のリリースに向けて準備をしています。
この記事では、「なぜピボットするのか?」の背景にあるヴィーガン業界の変遷と、現在の業界構造についての、個人的な見解を書き残していきたいと思います。
Table of Contents
日本のヴィーガン業界は、今まさに成長の過渡期
まずはじめに、環境問題・動物倫理・健康など複数の観点から、ヴィーガン市場は世界的に拡大してきました。平たくいうと、フレキシタリアンなども含めヴィーガンを選択したい人がどんどん増加しています。
日本においても、まさに今、成長の過渡期を迎えています。
消費者側は、ローラさん、二階堂ふみさん、水川あさみさん、藤井風さんなどのトップインフルエンサーによる発信もされ始め、この2年間でヴィーガン生活に関心を持った方、始めた方の割合は高くなっています。
一方で、生産者側も、東京オリンピック・パラリンピック2020によるインバウンド需要増加を機に、食品メーカー・飲食企業が続々と参入してきました。
ここから、「1950年代から、現在までどのような業界の変遷があったか」「これからのヴィーガン業界の大きな変化は何か」について、時代を分けて詳細を書いていきます。
〜2000年:各地のコミュニティによる小さな経済圏から事業/企業が発生
消費者
- 携帯やスマートフォンもなく、各地のデモ活動やベジタリアン協会等のイベントに参加することで、交流していた。
- そのため、情報源や人間関係も、数十〜数百人程度の小さなコミュニティが重要な役割を担っていた。
- また、1940年代からマクロビオティック文化も広がりを見せ、マクロビ商品はベジ/ヴィーガンの生活も支えた。
企業
- 今も続く代表的な企業は、アリサン有限会社、株式会社かるなぁ、三育フーズ株式会社、オーサワジャパン株式会社、など。
- いずれも、地域のコミュニティ、キリスト教、マクロビなど、小さな経済圏で販売先を確保し、製造業を開始し今もなお継続している。
- また、当時からのみではなく実店舗に加え、通信販売(カタログ等)も行っていた。
僕たちも同じ悩みを抱えてました。特に和食で多用されているダシとかも駄目なので本当に食べれるものがなくて困っていたのです。 そこでベジの仲間同士で出資して、商品を作っていったのです。
ベジ人vol.01 余語啓一さんに会ってきました。
ヨーロッパやアメリカに品物を卸した帰りには、スーツケースいっぱいにピーナッツバターやオートミールなどの食品を詰め込んできました。当時日本では海外のオーガニックやベジタリアンの食品を手に入れることが難しく、この持ち帰った食品を日本に住む友人たちと分け合ったのがアリサンのはじまりです。
アリサンストーリー
2000〜2015年:インターネット上での商品販売・情報発信により、購買層は全国へ
社会背景
- PC/スマホが普及し、インターネット上でのベジ/ヴィーガン商品購入、また情報発信/検索が簡単にできるようになった。
- 楽天市場やYahoo!ショッピングなどのオンラインモールサービス。
- アメブロ等のブログサービスでの、個人による情報発信。
- これにより、全国の20-40代に情報に触れる機会やベジ/ヴィーガン商品の購入機会が広がる。
消費者
企業
- オンラインモールが日本にも普及し、現在も利用者の多いGreen’s vegetarianが楽天市場(2011年)、Yahoo!ショッピング(2012年)への出店。
- 同時期、ヴィーガングルメ祭り、ベジフードフェスタなどのヴィーガンのフードイベントも開催開始。
2016〜2020年:SNS上での小規模コミュニティ複数発生。消費者発信による購入が増加
社会背景
- SNSが普及。
- ECプラットフォームの普及。
- BASE、Shopify、STORESなどにより、個人レベルでのオンライン販売が加速。
消費者
- 交流の場、情報収集の場がSNS上に移行。
- 交流の場:デモ等のリアル活動→SNS上のコミュニティ
- ヴィーガンな食卓(FBグループ)など、周囲に同じライフスタイルの人がいなかったが、SNSでコミュニティ所属が簡単になり、オンラインの繋がりからリアルイベントやご飯会で出会うことが増える。
- 情報収集の場:リアル・ブログ等→SNS上の発信者(マイクロインフルエンサー)
- 他業界と比較し、周囲に同じライフスタイルの人がいないベジ/ヴィーガンにとって、SNSは貴重な情報源となり、ヴィーガン対応飲食店情報やレシピ情報を発信するマイクロインフルエンサーの影響力が増す。
- 交流の場:デモ等のリアル活動→SNS上のコミュニティ
- 購買層:コミュニティの裾の尾が広がり、情報収集源の幅が広がったことで、これまでのコア層のみから、フレキシタリアンやゆるベジと呼ばれるライト層が増加する。
企業
- D2Cブランド
- 他業界と同じく、クラウドファンディング普及が物語る、SNS上でブランドのファンをつくり商品開発・販売するスタートアップが増加。
- また、BeyondMeat社のナスダック上場(2019年)の影響を受け、代替肉やフードテックの注目を集める。
- 例)ネクストミーツ(クラウドファンディング)、Grino(クラウドファンディング)
- webサービス
- 同時に、webサービスを運営するスタートアップも現れる。
- 例)vegewel(レストラン検索サイト)、ブイクック(レシピ投稿サイト)など
- 個人事業主/小規模事業者
- ECプラットフォームを活用した小規模事業者が増加。
2018〜2022年(今!):インバウンド需要、SDGsの流れから大企業の参入し供給増加
社会背景
- 東京オリンピック・パラリンピック2020によるインバウンド需要が増加(延期)
- SDGsの流れから、環境負荷の低いヴィーガン食に注目
- パンデミックによる巣篭もり需要(ドキュメンタリー視聴)
消費者
- パンデミックにより、Netflix等が情報収集源に加わり、ヴィーガンに関するドキュメンタリー映画(cowspiracy/dominion/gamechanger等)の視聴者が増加。
- 実際、ブイクック社が2022年に実施した「ヴィーガン生活の実態調査」(444名)の結果、62%が2年以内にベジ・ヴィーガンを始めている。
企業
- 食品メーカー、飲食企業ともに、2020年を機に急速に参入が進む。
- 食品メーカー
- KAGOME(レトルト、だし、卵)
- 江崎グリコ(植物性プリン)
- キューピー(HOBOTAMA)
- AEON(PBのチーズ、大豆ミート等)
- DAIZ(植物肉スタートアップ)
- 飲食企業
- 焼肉LIKE(ネクストミーツコラボ)
- コメダis(allヴィーガン店舗)
- 2foods(主要駅に複数店舗展開)
- モスバーガー(グリーンミート)
- 一風堂(プラント赤丸/白丸)
2023年〜(予想):大手企業参入による市場の拡大(=マス層への普及開始)
社会背景
- 大手企業の広報PR活動により、マスメディアによるヴィーガン・プラントベース情報発信数の増加
- パンデミックの収束により、インバウンド需要が復活し、2020年以前のヴィーガン対応の動きが加速
- 脱炭素の動きが本格化し、エネルギーや移動手段に加え、食事による脱炭素の動きが本格化
消費者
- マスメディアやインフルエンサーによる発信で、ヴィーガンに関する情報に触れる機会増加により、認知拡大。
- これにより、ライト層がさらに拡大し、ヴィーガンでなくとも買い物や外食時にヴィーガン食を選択する人が増加。
企業
- 一般飲食店の対応:業務用商品の多角化/低価格化、またインバウンド復活により、観光都市から小規模飲食店のヴィーガン対応が加速する。
- 行政による後押し:脱炭素・SDGsの目標達成のため、環境負荷の低いヴィーガン食の推奨する政策、逆に環境負荷の高い牛肉等への炭素税の導入などが後押しとなる。
- 欧米企業の参入:Beyond Meat、Just Eggをはじめとした、欧米のヴィーガン食品を扱う企業が日本市場に参入。
急激な需要・供給の増加に、既存の流通システムが追いついていない
ここまでまとめてきた通り、ヴィーガン業界構造の変遷をまとめると、このようになる。
- 〜2000年:小規模経済圏で、少数種類・少量生産
- 〜2015年:インターネット普及し、工業生産・全国販売
- 〜2020年:SNSを活用したD2Cブランドの登場
- 〜2022年:既存企業が参入により、商品数が爆増(←イマココ)
- 2023年〜:メディア露出・対応店増加によりマス層へ拡大
そして、現在のヴィーガン業界の大きな課題は「需要・供給の急増に流通システムが対応できず、商品が流通しないこと」と捉えています。
近所にスーパーに行ってもヴィーガン商品は販売していない/種類が少ないし、オンラインで購入しようと思っても各ブランドからの購入になるため配送料が個別にかかってしまいます。
これまでの全体最適の流通システムでは、マイノリティ(ヴィーガン)は無視され、大多数が享受する「利便性」「低価格」を得ることはできていません。
人間の体で例えると、酸素(商品)もたくさんあるし、それを求める細胞(消費者)もたくさんあるが、血液を巡らせる心臓(流通システム)がないようなものです。
だからこそ、僕たちがヴィーガン業界の心臓となり、日本中にヴィーガン商品を巡らせる存在になることを目指しています。
そして、ヴィーガン領域でも当たり前の買い物体験を提供することで、「誰もがヴィーガンを選択できる社会」に近づけて全力で走っていきます。
さいごに
最後まで読んでくださりありがとうございます。
ヴィーガン業界の変遷を遡りつつ、これからブイクック社が担っていくことが何かを理解していただけたかと思います。
最後に、声を大にして言わせてください。
一緒に、ヴィーガン業界をリードしたい人はいませんか!!!
ふう。
正直、事業を立ち上げる時期は大変なことがほとんどですが、まさに過渡期を迎えるヴィーガン業界で、大きなインパクトを与えられるタイミングは今しかないと思っています。
僕たちと一緒に、この業界をリードし、社会を前進させていく、強くて優しい仲間を絶賛募集しております!
少しでも興味持ってくださった方は、工藤のSNSにDMを送ったり、採用情報|株式会社ブイクックをご覧いただいたり、Meetyからカジュアル面談(Meety)など、気軽にご連絡いただけると嬉しいです。
それでは。