学生起業して「ブイクック」をつくった理由

kudoshu_vcook(X / Instagram

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こんにちは、ブイクックの工藤柊です。

最近、あまり創業当初のことを思い出したり、話したりする機会がなかったので、ここで改めて書いておきたいと思います。

もうずいぶん昔の話ですが、僕が神戸大学に通っていた時に、現在も運営するヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」をつくりました。

当時は、デザインやプログラミングについて何も分からない状態でしたが、何とかアイデアを形にするために、試行錯誤してきた話をここで書ければと思います。

ヴィーガン生活のはじまりは、おにぎりと水炊き

高校生の頃の工藤の再現写真(嘘です。今の工藤です)

ブイクックをつくったのは…と書き始めていきたいところですが、まずは僕個人的な話から始まります。

僕は2016年の高校3年生から、動物倫理と環境問題を理由にヴィーガン生活を始めました。これについては、「僕がヴィーガンな理由ときっかけ」で詳しくご覧ください。


そして、ヴィーガン生活して最初に困ったことは…

「何食べたら良いか分からん!!!!」

ということでした。

それまで、自分で作れるものといえば、卵焼きや目玉焼きを作ったり、豚肉をちょっと炒めたり、その程度でした。

ヴィーガンはじめるはいいが、何を作れば良いか分からないし、ヴィーガン商品なんて見たことなかったからどれを買ったら良いか分からないし…最初はおにぎりや水炊きをずっと食べていました。

一つずつググって調べたり、一つずつ商品の裏を見てチェックしたり、そんな感じで2,3ヶ月過ごしてやっと慣れてきました。

要は、ヴィーガン生活を始めた頃は分からないことが多くて、大変なんだと実感しました。

大学食堂へのメニュー導入・カフェ店長

また、大学受験を終えて、神戸大学に入学してから、僕がヴィーガンを実践していることに興味を持ってくれる人が多く、実際の生活の様子や、その理由について話すことが多くなりました。

理由やきっかけについて話すと、中には共感して「自分でもやってみる」と、ヴィーガンを選択しまじめてくれる人もいました。

しかし、今ではほとんどの人がヴィーガンをやめています。

そこで、個人の意思や気持ちがどれだけあろうと、ヴィーガンの選択が困難なままでは始められないし、続けることはできない(できても一部のみ)という考えにいたりました。

そこで、誰もがヴィーガンを選択できる”Hello Vegan!”な社会をつくることを目指して、SNSでの情報発信、大学食堂へのヴィーガンメニュー導入活動、ヴィーガンカフェの店長などをやってきました。

自分だけが頑張っても、何も変わらないかも

大学食堂で提供されたヴィーガン肉味噌うどん

“Hello Vegan!”的活動の結果として、1年弱かけて、大学にある8つの食堂のうち留学生が多い食堂で、ヴィーガンメニューを期間限定で導入し、その後継続的に提供されるようになりました。

これだけ聞くと、成功したように聞こえますが、僕にとっては自分の「力不足」を痛感するには十分な事実でした。

つまり、大学生活の1年弱をかけて、1大学の、それも8つある食堂の1食堂でヴィーガンメニューが導入できた「だけ」でした。

人生の1%を費やしたにもかかわらず、です。

この頃、同時に風邪を引いて体調が悪くなり、同時にメンタルまで持っていかれて、「自分が人生をかけても、社会は何も変化しないのではないか?」「自分がどれだけ頑張っても、できることなんて限られているのではないか?」と、自らの今の能力と生み出したい社会の変化との間ある、とてつもなく大きな壁を確かに実感し、自分の存在価値を否定されているように感じました。

何もできないならば、もう全てを辞めてしまっても…とも考えていました。

一人では困難でも、協力すれば大きなコトを為せる

当時やってた企業向けセミナー

そんな悩める大学生だった僕は、色々な人の本や記事を読んで、「協同組合」という組織の形と、それを作った「賀川豊彦」という人物を知りました。

協同組合とは、出資・運営・利用を全て自分たちで行うことで、自分たちの生活や仕事をもっと良くする組織の形です。

要約すると、「自分たちの課題は、自分たちで解決していこうぜ!」という組織で、僕はそこに強く惹かれました。

生協は生活者が安心安全なものを食べるために、農協は農家の仕事を安定させるために、自分たちで立ち上がったようです。

この形は、ヴィーガン業界でも活かせるんじゃないか。自分一人では困難でも、同じ思いを持つ人たちと協力すれば大きなコトを為せるんじゃないか、と希望を捨てずに済みました。

事業アイデアを書き出し、ブイクックの原型が生まれる

そして、ヴィーガン版協同組合をつくって「何をするか?」を考えていきました。まずは、ノートにアイデアをどんどん書き出していきました。

そこに書き出した3つめのアイデアが、ヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」の原型となるものでした。

構造はシンプルで、「ヴィーガン料理が得意な人が、レシピを投稿できるサービス」として、それをヴィーガン特化にすることで「個人のヴィーガンレシピ」から「みんなのヴィーガンレシピ」にできることを目指していました。もちろん、既存サービス(cookpad,楽天レシピなど)を参考にしながら!

当時は、「V-〇〇」でいろんなアイデアを出していて、他にもヴィーガンのシェアハウス「V-House」、ヴィーガン版知恵袋掲示板「V-Support」、ヴィーガン商品ECサイト「V-Choice」などがありました。

このうち、シェアハウスやECなどは、一つずつ実現させています。

日本全国を回り、ヴィーガン当事者と話す

2018年、全国を回ってお会いした人々(一部)

アイデアはたくさん出たけど、「まずどれから取り組むか?」を決めるには、自分一人のヴィーガン生活の体験では情報が不十分だと考えて、全国のヴィーガン・ベジタリアンの当事者の人たちに話を聞きに行くことにしました。

しかし、奨学金をもらいながら大学にか通っていた僕には、もちろん全国を回るためのお金はありませんでした。

そこで、話題になりつつあったクラウドファンディングを活用し、121名に85万円の支援をいただき、それを元手に北海道から沖縄までを回りました。車中泊をしたり、現地で出会った方のおうちに泊めてもらったりと、大変な2ヶ月でした…笑

NPO法人の設立総会の時の写真

結果、全国の300名以上のヴィーガン、ベジタリアンの当事者の人と話すことができ、何に取り組むべきかが明確になりました。

「家族につくる料理をヴィーガンにしたいけど、単調になってしまって不満を言われる」「ヴィーガン始めたはいいが、料理が苦手で挫折しそう」など、料理のレパートリーに課題があると分かりました。

そこで、いくつか出していたアイデアの中から、ヴィーガンレシピ投稿サイト「ブイクック」に絞って取り組んでいくことを決めました。

同時に、NPO法人日本ヴィーガンコミュニティを設立し、NPO法人を運営元としてブイクックの開発を進めました。(現在は、NPOは解散準備中です)

当時は、大学2年生の19歳だったにもかかわらず、本当に多くの人が耳を傾けてくれて、真摯に向き合ってくれたこと、本当に感謝です。

エラーだらけのβ版を会員限定でリリース

何も分からずパワポでデザインしていた頃のブイクック

プログラミングを勉強し始めていた大学の先輩を誘って、とりあえず作ってみることに。

僕はデザインを担当し、当時はわけもわからずパワポでデザインしていました笑(今はちゃんとFigmaでやっています)

毎日朝から晩まで「どの機能を追加するか?」「どんなデザインにするか?」について話したり、考えたりして、半年かけてβ版を完成させました。

最初はNPO法人の会員限定でリリースしましたが、当時はエラーだらけで、毎日エラー改修に明け暮れていました 。それでも協力してくれた方々に、心の底から感謝です。

結果として、200レシピ以上が集まり、正式版の提供を開始しよう!とさらに開発を進めました。

β版の頃のブイクック
はじめたてのInstagramアカウント

ブイクック正式リリース!

そして、200件以上のレシピが集まった状態で、2019年7月にブイクックの正式版の提供を開始します。最初は数百人程度の利用者でしたが、少しずつレシピ数もユーザー数も増えていきました。

また、レシピ以外にも、食材やレストランの情報を発信するwebメディア「ブイクックプラス」をリリースしたり、コロナ禍に入ってからは「オンラインヴィーガンご飯会」を開催したりもしてきました。

当時から、「レシピ情報を届けること」が目的ではなく、「ヴィーガン生活を支えること」が目的だったので、やれることをやってきました。

そして、この事業をさらに速く、さらに大きくしていくために、2020年4月(大学4年生)に株式会社ブイクックを設立し、運営を引き継ぎました。

現在は、レシピ数は5,000を超え、毎月15万人以上が利用し、Instagramのフォロワー数合計約15万人になろうとしています。

正式版提供のために、adobe Xdでデザインを開始
デザイナーの大学の先輩にお願いし、ロゴが決定

レシピだけではなく、ヴィーガン生活を支える

繰り返しになりますが、僕たちの目的はあくまで「誰もがヴィーガンを選択できる社会をつくること」にあります。

「ブイクック」でレシピ情報を提供することで、自炊の課題を解決することはできますが、それでは不十分です。

ヴィーガン生活には、料理以外にも多くの、本当に多くの課題が存在します。買い物、外食、旅行、パートナー探しなど、あげるとキリがない。

僕たちは、それら全ての課題を解決し、誰もがヴィーガンを選択できる”Hello Vegan!”な社会を実現します。つまり、ヴィーガン生活をする上での課題を解決しきるまで、僕たちの挑戦は続きます。

これからは、レシピに加え、「買い物」の課題にも取り組んでいきます。

若輩者で、知識も経験も少ないため、これからも皆さんの力をお借りすることになると思いますが、どうかご協力よろしくお願いします。

さいごに

久しぶりに「ブイクック」をつくったことを思い出しましたが、右も左も分からず、すごく遠回りしてきたなと感じる一方、この時の苦労や試行錯誤が今の自分を、そして今のブイクックを作っていると言えると思います。

これまで、ブイクックに関わってくれた人たち全員に、改めて感謝です。

ありがとうございました。


そして、これから株式会社ブイクックの一員として、関わってくれる強くて優しい仲間を大募集中です!

一緒に“Hello Vegan!”な社会を一緒につくるために、ヴィーガン業界をリードしていきましょう💪

  • ヴィーガン業界を自ら推進していきたい
  • これまでプロダクト・事業づくりに関わってきた
  • 自分で活動してきたが、協力してもっと大きな変化を生みたい

みたいな方は特にお待ちしています!


社会を前進させる、強くて優しい仲間募集中です!

👉 採用情報|株式会社ブイクック

カジュアル面談(Meety)

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✏️ 書いている人

工藤 柊 / Kudo Shu

1999年2月28日大阪生まれ。高校3年生で環境問題・動物倫理からヴィーガン生活を開始。神戸大学国際人間科学部環境共生学科に入学後、学食へヴィーガンメニュー導入、ヴィーガンカフェThallo店長など活動。学生起業しNPO法人設立後、事業拡大のため2020年4月に株式会社ブイクックを創業。夢は世界平和。趣味は恋バナと漫画・アニメ。

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