黒字化 or Die
一企業として「黒字化」の優先度を上げたのは、2.5年前の経営合宿(2023年10月)からだった。
それまでは、『資金調達して売上を増やし、その実績を持ってさらに資金調達する』というようなスタートアップ(バブル?)の常識を疑わずに進んできた。
しかし、2023年頃から、いわゆる「冬の時代」という言葉がスタートアップ界隈に広がり、起業家の友人,先輩も「売上」だけではなく「収益性」を重視するようになった。
僕たちも例に漏れずその影響を受けた。というか、そもそも調達したお金で、売上を急増させることもできていなかった。
毎月、数百万円(主に人件費)のコストがかかり、調達した1億円以上の大金も右肩下がりにガクガクと減っていった。
それに対して、大きな対策を打ち出すタイミングも遅かった。
気がつけば、「このままでは1年でキャッシュアウトする」という状況だった。
“まずは小さくても黒字に”
当時、身に余る資金の扱い方が分かっていなかった。
「調達した資金を、事業に投資し、増やす」という経営者の基本の能力すらもなかった。
知識も経験もないなら、先人に知恵を借りるしかない…と考え、経営者の先輩方に相談させてもらうようにしていた時期だった。
その中でも、ACROVEの荒井さんに相談させてもらい、その後の会社の方針が大きく変わった。
「赤字状態で、何に注力すべきか?」というざっくりとした僕の問いに対して、色々と深掘ってくださり、以下のようなアドバイスをいただいた。
- 赤字状態だと、焦って正しい判断ができない
- まずスケールとかは一旦考えず、小さくても黒字までは持っていく
- 柱となる黒字事業があるから、投資的な赤字事業のリスクも許容できる
その後も節目節目に議事録を読み返すくらいには、大きな分岐点だった。
たぶん、この時に相談させてもらっていなかったら、今ごろ倒産していた可能性が高い。本当に本当に感謝。
黒字化 or Die
その月末に経営合宿があったので、早速全メンバーに「黒字化」を絶対目標として共有した。
同時に、それまでの上手くいかなかったやり方を全部変えた。
- 複数事業に分散していたリソースを1事業に集中
- リモートワークから原則出社(週3→週5と順を追って)
- 毎日の朝の定期ミーティングを再開
など、とにかく早く、早く、学習と成果を生み出せるようにした。
赤字状態は、流血しているのと同じだ。
まずは必死に血を止めないと死ぬ。
自由な働き方を謳歌している場合ではなかった。
あるいは、沈んでいく船と同じだ。
まずは船を必死に軽くし、前に進めなければならない。
沈んでいる船上で昼寝してる場合ではなかった。
今でも、「黒字化」というのは事業展開する上での重要なキーワードであり続けている。
というか、事業活動の前提だ。(当たり前すぎて、恥ずかしいが)
黒字の事業を積み重ねているから、一時的な赤字となるリスクを許容して挑戦することができる。
飲食事業における「黒字化」の意味
そして今、2.5年の時を経て、ブメイン事業は「飲食事業」になった。
飲食店経営には、会社経営の全てがギュギュッと詰まっている
- 仕入:商品の材料(食材,ドリンクなど)を毎日仕入れる。
- 製造:商品の製造(調理,盛り付けなど)を行う。
- 集客:お客様に認知・来店いただくための施策。
- 販売:商品の販売も店舗で毎日行われる。
- 組織:上記実行のために、採用,研修し、健全運営できるチームづくり。
一店舗一店舗が、1企業と言っても過言ではない。
そして、どれだけ店舗展開をしても、一店舗一店舗が黒字でなければならない。
この基準が甘くなった時点で、各店舗が赤字となり、全社として崩壊する。
赤字=価値を増やせていない
赤字であるということは、食材・物件・人件費などのかけたコスト以上に、売上が立っていない。
つまり価値を増やせていないということだ。
分かりやすく言えば、100円で買ったコーヒー豆で、人件費100円分、場所代100円分をかけると、コストは合計300円になる。
そのコーヒーを200円で販売してみよう。そうすると、100円分(300-200)の価値が損なわれてしまったことになる。
お客様にとって価値となる食材・場所・稼働だけにコストをかけていれば、必ず黒字になる。
もしも赤字なら、それはお客様にとって価値のないことにお金を流していることになる。これでは流血状態だ。
一方で、黒字になって生み出した利益は、その店舗・スタッフがお客様にプラスで提供できた価値だ。
“黒字事業を積み重ね、筋肉質な会社へ”
あの経営合宿で共有した「黒字事業を積み重ね、筋肉質な会社へ」というコンセプトは今でも変わらない。
ヴィーガンの選択肢を増やし、Missionを達成するためには、1事業が成立しただけで満足はできない。
ヴィーガン生活のあらゆる課題を解決するためには、飲食事業の拡大に次ぐ拡大、そしてそこで得た利益を使って、他の課題を解決する事業を積み重ねていく必要がある。
黒字事業を積み重ねる。その結果、大きな挑戦をするリスクを許容できるようになる。
どれだけ事業を拡大しても、どれだけ資金力を得たとしても、「黒字化 or Die」の教訓を忘れないでいたい。