2024年3月時点のブイクック社のメトリクス(重要指標)に関する考えを記録しておく。
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メトリクスとは(ブイクック社における)
メトリクス(評価指標)とは、事業・組織を成功へと導くために、メンバーが注力すべき方向を指し示すコンパスである。
事業・組織における数多あるKPI(変数)から、「これだけをやる」と絞り込んだ注力する指標であり、重要なことは「メトリクス以外のKPIは捨てること」である。
数多の変数から、「”ただ”これだけをやる」と決めた指標を急成長させるために、リソースを集中投下するポイントを絞り込んだもの。
なぜメトリクスを設置したか?
PMF前のスタートアップにおいて最も危惧すべきは、注力するポイントを絞れず、リソースの分散させることである。
特に、遅行指標(詳細は後ほど記載)である「ユーザー数」「売上」などのみしか設定せず、具体的にメンバーが何をすべきかを指し示せていなかった。
その反省から、2023年から先行指標を導入した。
選考の基準がなければ、結果が良かったのか悪かったのか判断できない。最悪なのは、結果が出た後に「成功だったか失敗だったか」の議論が始まるケース。
「御社の独自のメトリクスは何ですか?」あるいはプロダクトのビジョン
優れたメトリクスとダメトリクス(虚栄の指標)
スタートアップ(特に初期段階)は、模索と実験のためのメトリクスを定め、その指標自体の仮説検証を回すことが求められる。
そのためも、少なくとも社内メンバーが追いかける指標は、優れたメトリクスを定めなければならない。ダメトリクス(虚栄の指標)を追いかけては、限られたリソースを無駄にしてしまう。
優れたメトリクス(先行指標/遅行指標)
優れたメトリクスは、行動を変える。そのために、以下の要素を重視する。
- 比較ができる:先週比が正しく測定できること
- 分かりやすい:覚えやすく、定義の議論が不要
- ずるできない:メトリクスは性悪説でつくる
プロダクトが形になってきた段階では、以下のように割合でメトリクス定義すると良い。
- [ある期間]までに
- [ある操作やアクション]を実行した
- [新規ユーザー/リピーター]の割合
※母数が少ない場合は、割合がベストじゃない場合がある
参考:戦略を良し悪しを見分ける「プロキシメトリクス」という考え方について(Netflix)
ダメトリクス(虚栄の指標)
一方、「虚栄の指標」とも呼ばれる、見ると気分は良くなるが行動は変わらない指標は、ダメなメトリクスである。
社外(取引先/投資家など)に対して使用することがあるかもしれないが、社内メンバーがこの指標に騙されてはいけない。
例えば…
- PV数
- UU数
- フォロワー数
- 登録者数 など
独自のメトリクス
例えば、LinkdinやMediumは、サービスのビジョンや戦略に基づいたメトリクスを設定していた。
事例 | メトリクス |
Linkdin | Profile View(全体PV数ではない) |
Medium | Total Time of Reading(PV数ではない) |
このように、製品で実現したいこと、理想的な顧客行動から逆算して、メトリクスを定める。
先行指標と遅行指標
メトリクスは、[先行指標]と[遅行指標]の2種類に分けて定める。
[先行指標]を追いかけることで、結果として[遅行指標]が伸びるという順番。
先行指標 | 遅行指標 | |
---|---|---|
改善が… | 早くできる | 時間がかかる |
成果に対しての… | インプット(理由) | アウトプット(結果) |
例えば… | [運動する時間]が増えると [解いた練習問題]が増えると | [体重]が減る [偏差値]が増える |
どうやってメトリクスを運用するか
事業を急成長させるために、重要なポイントを絞り込むためにメトリクスが存在する。
そのため、メトリクスは社内に向けた強力なメッセージになるため、勇気を持って意思決定し、向き合い続けることが求められる。
ブイクック社では、以下の4点をポイントにメトリクスを運用する。
1. 極限まで絞り込む
コンパスが複数の方向を指してしまうと、道に迷ってしまう。複数設けたい気持ちを勇気を持ってグッと押さえ込み、極限まで絞り込んだメトリクスで行動を変えよう。
2. 全員が意識する
コンパスの指す方向が頻繁に変わってしまうと、混乱してしまう。勇気を持って、仮説を一度信じて最後までやり切ろう。
3. 検証し、アップデートする
コンパスの指す方向が正しいとは限らない。十分に検証した結果、間違いだった場合は勇気を持ってアップデートしよう。
(メトリクス設定時に検証基準を設けておき、毎週のメトリクス記載時に「この先行指標は正しいか?」を検討する)
4. 全員の意識する仕組みに落とす
メトリクスを定めて終わりでは、行動を促すことができない。定期的なミーティング(ブイクック社では、先行指標を毎日、遅行指標は毎週)などで、全員で進捗を確認し、リードする人間がメトリクスの増減にリアクションする。
参考記事・書籍
「御社の独自のメトリクスは何ですか?」あるいはプロダクトのビジョン