「10年後の当たり前」を描き、それを実現させる発明(プロダクト)をつくる

kudoshu_vcook(X / Instagram

Let’s share!

年末年始に『商品はつくるな 市場をつくれ』を読んで、大きな反省や学びがありました。今後忘れないように立ち返る場所として、ブログに残しておきたいと思います。

『商品はつくるな 市場をつくれ』

amazon

キリンビールで複数のヒット商品を開発した和田徹さんの著書です。調べてみると、他にもたくさん書籍を出されているようなので、読んでみたいです。

タイトル通り、「既存市場でシェアを取り合う”差別化”された商品をつくるのではなく、新しいカテゴリー(市場)を発見したのちに、その代表・典型となる商品をつくろう」という主張を軸に、酒類市場の背景と淡麗/キリンフリー/氷結などの具体例が紹介されていて、勉強になりました。

この本の言葉を引用しながら、反省や気づきをまとめていきます。

「競合商品は過去のもの」これから描くのは未来

最も印象的だったのは「競合商品は過去のもの」という言葉です。

競合分析から機会を発見することを、商品づくりの起点としてはなりません。(中略)なにより重要なのは「競合商品は過去のもの」であるということ。これから描くのは未来です。

『商品はつくるな 市場をつくれ』p45

もちろん商品/サービスを開発する上で、競合サービスはとても勉強になるし、多くの失敗と試行錯誤によって洗練された他社事例から学ぶことで、車輪の再発明をせず効率的に最適解にたどり着くことができます。

一方で、その全ては「過去のもの」であると認識するべきだと思わされました。競合サービスを参考にして分かるのは「今(過去)の最適解」であり、これからの未来へ現実を近づけることとは異なります。

重要なことは、競合サービス・他社事例から「今の当たり前」を学習し素早く実行し、同時に「未来の当たり前」を自ら描き、それを実現させるための一歩先の発明のアイデアを出す意識を持ち続けることだと思います。

既存市場で争っていても、消耗戦にしかならない

「競合商品は過去のもの」と同じくらい、「その(既存市場)の中で争っていても、消耗戦にしかなりません」という言葉も印象的でした。

当たり前の話ですが、数年単位の短期的な目標・売上を追求すると、どうしても既存市場に目が行きがちです。つまり、既に人々がお金を支払っている商品と相対的な”差別化”を行い、シェアの取り合いになってしまう状況です。

変化のない市場でシェアを奪い合っても、市場自体は大きくならない。現在の市場を破壊して、より成長が見込める新たな市場を作り出すほうが、建設的である。

『商品はつくるな 市場をつくれ』p29

ヴィーガン商品専門ネットスーパー「ブイクックスーパー」の開発においても、極端に言えば、これまで競合サービスを”模倣”し「利用者を取り合う戦い」を選択してきてしまったと反省しています。

しかし、本来は理想的なヴィーガン生活に対して、今ある解決策では不満が多いが我慢して使用している、もしくは使用/購入しない現状との差異を埋めるプロダクトをつくるべきです。

つまり『ジョブ理論』でいうところの「無消費」や「間に合わせの対処法」に目を向け、理想の未来に近づけるための発明をする必要があります。

未来をつくるなら、みるべきものは競合他社や社内ではありません。新しい時代のお客様の生活スタイルの変化、価値観の変化です。

『商品はつくるな 市場をつくれ』p34

ただし、これはビール市場のような成熟・衰退に差し掛かっている市場の話です。僕たちが取り組んでいるヴィーガン市場のような成長中の市場においては、Google/Amazon/メルカリなどがそうだったように、いわゆる”超越的模倣”の選択もあると考えています。

「10年〜30年後の人々の理想とする生活を想像する」

既存市場、競合商品を起点としないのであれば、まず何から始めるべきなのか。それは「未来の当たり前を想像すること」です。

より良い商品、ずっと売れ続けるロングセラーをつくるのに必要な第一歩。それは未来を描くこと。10年〜30年後の人々の理想とする生活を想像することです。

『商品はつくるな 市場をつくれ』p34

今ある既存商品(過去のもの)を起点に考えてしまうと、「そこそこ良いもの」しか生み出せなくなってしまいます。そうではなく、10年後の人々の生活はこんな当たり前になっているだろう、こんな当たり前にしなければならない、という未来(想像・願い)が起点となれば、思考の制限が外れ「未来に近づける発明」ができるのだと気がつきました。

「10年後のヴィーガン生活の当たり前は?」とブレストしてみました。

僕たちブイクックは、「誰もがヴィーガンを選択できる”Hello Vegan!”な社会をつくる」をミッションにしています。このミッションを達成するためには、少なくとも10年20年は必要です。

実際に、年始の経営合宿では、「給食でヴィーガンが選べる」「どの飲食店でもヴィーガンメニューがある」「安くヴィーガン商品が買える」「ヴィーガンへの攻撃的な批判はなく、受け入れられる」など、未来の当たり前をイメージしてみました。

オリジナリティとは文字通り「独創的」であることです。唯一無二であることです。社内や競争相手からクレイジーといわれても「新しいものをつくりたい」「世界を変えたい」と強く願い「未来をつくろう」と勇気を持って挑戦することです。

『商品はつくるな 市場をつくれ』p65

振り返れば、大学を退学して、東京に引っ越し、1億円以上の資金調達をしてまで、取り組んでいるスタートアップです。そしてミッションに共感し、一緒に走ってくれる仲間もいます。

そんな中、短期的な目先の売上だけを追いかけるなんて、とてももったいない。

僕たちが本当にやりたいことは、誰もがヴィーガンを選択できる社会をつくることであり、ヴィーガンに興味をもった人を”Hello Vegan!”と迎え入れられる未来を実現させることだと、初心を改めて胸に刻み込む機会となりました。

全ては強い願い、意志から始まるのだと再確認しました。

チームで未来を描き、実現させる発明を考える

2023年の年明け、Q毎に行っている経営合宿にて、実際に未来の当たり前を描き、それを実現させる発明のアイデアを出してみました。

「ヴィーガン生活/業界の当たり前」とは?
その未来を実現させる発明は何か?
実際に出したアイデア

この考え方をチームに共有できたことで、1年後2年後のアウトプットや成果が大きく変わってくると感じています。

普段の業務ではどうしても直近の1週間、1Q単位で考えてしまいます。しかし、合宿のアジェンダでしっかりと時間をとって取り組んだことで、今・過去の改善ではなく、人々の生活を非連続に変化させていく発明への意識が共有できました。

2日間の合宿だけではなく、まずはこの1年間を「未来を実現させる発明」を意識しながら生活していきたい。

最後に:結局、やることは変わらないが

これらの学びから、実際にやることが大きく変わるかというと、そうではないと思います。

描いた未来を実現するために、業界に深く精通できるよう情報を集め続け、人々の生活(行動・感情)を自分のことのように語れるほどに理解し、ヴィーガン生活を支えるプロダクトを生み出していく。結局、やることは変わりません。

しかし、それらの行動にあたり、「10年後の当たり前をつくるプロダクトか?」「新しい市場(カテゴリ)を生み出すほどの発明か?」という観点を加えることで、今までの無意識の思考の制限が取っ払われて、出てくるアイデアは広く多くなり、目標もより高いものになります。

ということで、この辺で終わりにしたいと思います。

ブイクックでは、「先人の知恵を借りる」というVALUES(行動指針)があり、メンバーはよく本を読んだり、相談したりしています。せっかく学んだものなので、シェアしていければという気持ちもあり文章に残してみました。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!

一緒にヴィーガン業界を前進させる仲間を募集しています!

本当に最後に、お馴染みの採用情報についてもお知らせさせてください。

日本でヴィーガンに関心がある人も増加し続ける中、まだまだ環境が未整備である課題を解決し、ヴィーガン生活を支えるプロダクトを一緒につくっていく仲間を募集しています。

一緒に10年ごのヴィーガン生活の当たり前を、現実のものにしたい!社会を前進させたい!と、興味を持ってくださった方がいれば、まずはカジュアルにお話しできると嬉しいです。

👉 採用情報|株式会社ブイクック

👉 カジュアル面談申し込みフォーム

それでは!

Let’s share!

✏️ 書いている人

工藤 柊 / Kudo Shu

1999年2月28日大阪生まれ。高校3年生で環境問題・動物倫理からヴィーガン生活を開始。神戸大学国際人間科学部環境共生学科に入学後、学食へヴィーガンメニュー導入、ヴィーガンカフェThallo店長など活動。学生起業しNPO法人設立後、事業拡大のため2020年4月に株式会社ブイクックを創業。夢は世界平和。趣味は恋バナと漫画・アニメ。

他の記事を探す(全ての記事)

🔍キーワードから検索する