こんにちは。工藤(@itllbedark)です。
僕は、2016年の秋からヴィーガンを実践しています。そして、当事者として、ヴィーガンをより実践しやすい社会を目指して活動する、NPO法人日本ヴィーガンコミュニティを昨年11月に設立し、代表として活動しています。
今回の記事のテーマは、僕たちが活動のコンセプトに掲げる “Hello Vegan!” についてです。つまり、ヴィーガンを普及させるためにはヴィーガンを実践できる環境を整備することが重要であると考える理由について書きたいと思います。
また、この記事を読んでいただく前に、以下の2つの前提があると知った上で読み進めていただけると幸いです。
1. 工藤自身がヴィーガンであること
2. ヴィーガン実践者の増加が望ましいと考えていること
記事自体は少し長くなりますが、図などを使っているので、ササッと読んでいただけると思います。ではどうぞ。
Table of Contents
Hello Vegan! とは
まずは、Hello Vegan! という言葉について紹介します。上の記事にも書いた通り、ちょうど一年前(2018年5月)から使い始めた言葉です。
簡単に言うと、ヴィーガンを簡単に実践できる環境をつくろうという意味が込められています。ヴィーガン実践を考えている人に、 “Hello Vegan!” と笑顔で迎え入れられるだけの環境を整えるということです。
僕がこう思い始めたのは、2つのきっかけがあります。1つめは、僕と同じように、ヴィーガンやベジタリアンを実践する友人が、生活の不便さや周囲の人からの理解のなさなど、世知辛さを感じていることを知ったことです。
そして、2つめが、僕がヴィーガンを広めようと活動している中で、実際にヴィーガンを実践した友人が辛い思いをして涙を流していることを見たことでした。その友人は、今ではヴィーガンをやめています。
この経験から、僕はヴィーガンを実践する人が生きやすい社会を創りたいと思うようになりました。それが自分がやるべきことであり、やりたいことであると今でも考えています。
(詳しくは上の記事からご覧ください)
なぜヴィーガンを実践しないのか
ヴィーガンを実践する理由はいくつかありますが、僕が説明するときは、主に動物・環境・健康の3つを紹介しています。僕自身がヴィーガンを実践する理由は、動物愛護の観点と、環境保護の観点からです。
ここ2年ほどで、400人以上のヴィーガンやベジタリアンを実践する人と出会ってきましたが、動物愛護の観点から始めた人が多く、それに次いで環境保護の観点から実践する人が多いです。ただ、入り口はどちらか一つのことが多いですが、ヴィーガンの生活を継続していくうちに、動物にも環境(=将来世代)にも配慮した考えを持つようになる人が多いように感じています。
また、一方でベジ以外の人とも、学校やイベントなどの機会で1000人以上と出会ってきましたが、彼らが全く動物や環境に配慮していないというわけではありません。多くの人は、動物虐待を見ると心を痛めるし、資源(電気や水など)の使いすぎを気にするのではないでしょうか。ただ、全くの無関心な層もいることもまた、間違いない事実だと思います。
ヴィーガンを軸にして、大きく分けると、次の図のようになります。
では、なぜ多くの人は動物や環境に配慮する思いがあるにも関わらず、ヴィーガンを実践しないのでしょうか。
この問いに、ヴィーガンを始めてから1年以上向き合い続けました。しかし、結論はとてもシンプルで、「大変だから」というものです。
もちろん、動物を好んで苦しめる人は少ないし、意図的に環境を破壊する人も少ないと思います。しかし、積極的に動物や将来世代のことを思い、行動する意志には程度があり、人それぞれです。これは経験値ですが、強い意志を持って行動しようとする人は、多くはないのではないでしょうか。
つまり、思いが強くない人は、ヴィーガンを実践するのが大変な状況であれば、実践しないことは自然なことなのだと思います。悲しいことですが。
どうすれば実践できるか
しかし、今も畜産業によって苦しんでいる動物がいて、破壊され続ける環境があり、それによって次の世代の人たちが苦しむかもしれない。そんな現状を改善するためには、一人でも多くの人が小さな行動を積み重ねていくことが必要だと考えています。
ヴィーガン実践の意志が弱く、実践のハードル(デメリット)が大きいという現状で、ヴィーガンを普及させるためには、2つの方法があります。1つは、動物や環境、将来世代への関心が高く、強い思いを持つ人を増やすこと。そして、もう一つは実践するハードルを下げ、関心や思いが弱くとも実践できる環境を生み出すことです。
関心や思いを高めることはもちろん大切ですが、人の意志を動かすは難しく、多くの人となると更に難しいでしょう。
だからこそ、ベジタリアン対応の飲食店は少なく、商品の数も少なく、大量生産できないため値段も高くなってしまうという訳です。
だから僕たちが、課題(=解決すべき問題)としているのは、
課題「ヴィーガンを実践するハードルが高いこと」
として、原動力が弱い人でも「動物にも環境にも配慮してるってなんかいい」という感覚でも、ヴィーガンを実践できる環境を創っています。
そうすることで、ヴィーガンやベジタリアンを、週に1度からでも実践する人が増え、結果的に犠牲の量は減少すると考えられます。
実践者が少ない=市場が小さい
NPO法人も2年度目に入り、より大きなソーシャルインパクトを与えるために、最近は企業の方と関わることが増えてきました。そこで多い意見として、ベジタリアンやヴィーガンの市場は小さく(=実践者は少なく)、大きな利益は見込めないというものです。
だからこそ、ベジタリアン対応の飲食店は少なく、商品の数も少なく、大量生産できないため値段も高くなってしまうという訳です。
しかし、言い換えれば、市場を創る(=実践者が増える)ことさえできれば、好循環が生まれます。利益が生まれる領域だと判断できれば、企業は動き始め、ベジタリアン対応はメニュー表に追加され、コンビニの商品棚に並ぶことになるでしょう。そうすれば、さらにヴィーガンを実践する人がさらに増えると考えられます。
好循環を生み出すのは当事者
しかし、現状は実践者が少なく(=市場は小さいと認識されていて)、実践する環境も整ってはいません。ヴィーガンを簡単に実践できる環境作りの最初の一歩は、企業や行政に頼っていてはスピードが遅く、僕たち一人一人の市民が動く必要があると考えています。
その思いから、昨年11月に日本ヴィーガンコミュニティと言う、協同組合モデルのNPOを作りました。協同組合とは、出資・運営・利用をすべてメンバーが行う組織の形です。企業が参入するほど利益が見込みない領域や、行政が対応するほど課題を抱える人がいない場合に、有効だと考えています。
簡単に言うと、自分たちが困っている課題を当事者たちで協力して解決する組織の形です。
僕たちが歩む道
日本ヴィーガンコミュニティがVISIONに掲げる、世界中の人々や動物、将来世代が幸せに暮らせる平和で持続可能な社会を実現するために行う活動のステップは3つです。
1. ヴィーガンが生きやすい社会を創る
まずは、MISSIONにも掲げている、誰もがヴィーガンを実践できる”Hello Vegan!”な社会を目指し、ヴィーガン実践の課題を解決します。
2. ベジ関心層へのきっかけ作り
2つめのステップは、動物や環境に配慮する生活であるベジタリアンやヴィーガンに理解があり、関心のある層へのアプローチです。WHYに共感する層にHOWを提供し、ヴィーガンの市場を拡大し、企業や行政の取り組みを促します。
3. 価値観の育成・文化作り
最後に、無関心層への啓発活動を行い、人間と同じように喜びや痛みを感じる動物を思いやることのできる価値観を育成します。一定数の人口がその価値観を持った時、それは文化となり、法律や制度にまで反映されることになると考えています。
最後に
最後まで読んでくださりありがとうございます。
では!