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30年後の後味のために

約5週間のヨーロッパリサーチから帰国し、久しぶりに休暇を取った。まずは妻に会いに、1週間ほど宮崎で過ごした。その後、大阪の実家に向かった。

両親や祖父母と、いつも通り過ごした。前に実家に帰ったのは、年始の休みだったので6ヶ月ぶりだ。特に何か大きく変わることもないが、小さな生活の変化を共有し合ったり、これからのことを話したりした。

あと30年もしたら、

東京には、昨日の夜に新幹線で戻ってきた。夜、「東京着いたでー」と、家族のLINEグループに報告し、帰省中に撮った家族の写真を送っていた。

その時にふと、「あと30年もしたら、みんな居ないのか」という、少し先にある避けられない事実が押し寄せてきて、切ない気持ちになった。

そして、「家族との別れの"後味"が良いものになるように、できることをやりたい」という、感情を見つけることができた。後味は最近僕が考えているテーマだったので、スッと腑に落ちた感覚だった。

悪い後味

僕は、他者と関わるときに、基本的に後味を気にしていることが最近わかった。

いつも僕の中にある願いを言葉にしようとすると、「良い人生にしてほしい」「幸せでいてほしい」ではなく、「良い人生だった、幸せだったと言って死んでほしい」という、少し後ろ向きな表現になる。

最近は、色々な死生観の人と関わる中で、自分の死生観の輪郭もハッキリしてきた。僕は「死んだらその人の人生は終わり。しかし、その人の残した影響だけが世界に波紋のように残る。時間と共に波は低くなるが、それでも確かに薄く広がっていく。」と考える。

そのため、陳腐な表現で言えば、一度きりの人生を最高のものにしてほしいのだ。

なぜかと言えば、後悔を残して死なれてしまうと、後味が悪いからだ。突き詰めれば、なんとも自分本位な理由だった。

僕は、親しい人が死んだ時に「自分に何かできたんじゃないか」「あの時、こうしておけば良かったんじゃないか」と、考えたくないのだ。

それでは後味が悪い。

良い後味

では、良い後味とはなんだろうか。僕はどんな後味を求めているのだろうか。

僕は親しい人が死んでしまった時、もう会えない悲しさを抱えながらも、それでも笑って思い出に浸かりたいのだと思う。「こんなことして楽しそうやったよな」「あそこ行った時、こんなことがあったなー」と、笑顔で思い出したいようだ。

僕にとって、これは後味が良い

だから、普段から他者と関わる時に、その人が死ぬ時の後悔が少ないように、できるだけ自分の人生に納得して死んでいけるように、手助けしたい姿勢でいる。

その人の意思(内的動機)の源泉を理解したい。その意思に沿った行動をする協力がしたい。勇気が出ないなら背中を押したい。失敗して落ち込んでいたら笑って手を差し伸べたい。

こういった感情を、これまで無自覚に発露させてきた。しかし、これは全て「良い後味にするため」だったと理解することができた。

要は、自分のためだ。

僕がみんなに後悔してほしくないし、できるだけ意思に沿った納得のいく人生を送って、笑って死んでほしい。そういう自分勝手な願いだったのだ。

酸いも甘いも、

同時に、頭では「酸いも甘いも混ざっているのが人生である」と理解している。

後悔だけの人生もないだろうし、後悔の全くない人生もないのだろう。それが自然だ。僕が考えているのは、「後悔のない人生にしてほしい」という訳ではないのかもしれない。

納得いく人生にしてほしいのだ。苦しかったことだらけだったとしても、それでもこれが自分の人生だったと思ってほしいのかもしれない。何か1つでも、「生まれてきて良かった」と感じられる瞬間があって、そういう小さな実感が全ての人にあることを願っている。

これは多分、僕がそういう死に方をしたい、あるいは納得いかずに死にたくないという願いが、他者に向いて表出したものなのだと思う。

酸いも甘いも噛みめて、自分で自分の人生を肯定して、最後を迎えたい。現状、このままいけばそんなラストを迎えられそうだ。

良い後味にしよう

しかし、自分の努力だけではそんなラストに向かえない人たちが多くいる。世界はハードすぎる。機会を与えられない人や、奪われる人が多い。暴力や搾取、格差で溢れている。

そして、僕は力不足すぎる。それらに対して、できることが本当に少ない。今年は手取りの10%を寄付するようにしているし、友人が困っていたら相談に乗るようにもしている。でも、それだけだと足りない気がしている。

できることからやっていこう。同時に、できることをもっと増やしていこう。頑張ろう。良い後味にしよう。

これから、いろんな後味に出会うことになると思う。その経験が、この考えにどんな影響を与えるのか、引き続き観察していきたい。

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